20代は案外、保守的なところがあります。それまでの人生で、選択肢の中から正解を選ぶことを何度もやらされてきた結果、多くの人が失敗を極端に避けるようになってしまったのです。
プレジデント社『PRESIDENT 2021.1.29号』P.45
テストだってそうですし、是非というものがいちいち問われるなか私たちは生活しているわけですから、自然守りに入ってしまう、より安全で確実な道を選ぼうとする、そのような傾向があるとしても頷けます。
失敗できない。
したくない。
したときの記憶がやきついて思考や行動を支配してしまう。
それでいいのかという話で、いいわけないんですよね。
いいわけがないのにそこに押しこめようと躍起になる人間がいて、環境があって、無難に年を重ねるだけの自分がいて、なんにもないまま終わっていく人生がある。
抜けだすには覚悟や勇気といったものが要るでしょうが、抜けださなければできない体験も確実に存在します。
すこしずつでも外れていくのか、いっそのこと大胆に生きかたを変えるのか、人それぞれだとは思いますが、よりよい今日を生きるための選択は全力でしていきたいところです。
「名文を引用して話す」というのが教養の基本です。何か良い言葉があれば、スマホに入れたり、手帳にメモしたり、すぐに人に話したりする。教養はアウトプットして記憶に残す。
プレジデント社『PRESIDENT 2021.1.29号』P.49
実際にそういう方もいますね。
会話のなかに成句、慣用句のたぐいを盛り込むことで教養を演出できるのは確かです。
しかし重要なのはあくまでも生き方そのもの。
言葉の力はそのために活かしたい。
ただ集めるだけ、ただ使うだけでなく、よく味わって成長や変化のための生きた言葉へと育てていくのが理想だと考えます。
人類が地球上に誕生してから何十万年もの間、私たちの先祖は自然の中で狩猟採集生活を送ってきました。そういう環境で生き残るためには、周りの状況がわからないほど集中することはむしろ危険でした。何か音がしたり、猛獣の気配を感じたりしたときに、すぐにそちらに集中力の対象を切り替える必要があったのです。
プレジデント社『PRESIDENT 2021.1.29号』P.67
そのはずなんですけれどもなんやかんや集中して周りが見えなくなることはあって、もちろん個人差はあると思うのですが、どうも私はそこまで融通はきかないタイプの人間らしいです。
先天的なもの、生まれ育った環境、もしかしたら歴史のなかで人間の性質や機能も変化しつつあるのかもしれませんね。
天敵がいないとどうしてもゆるんでしまう部分があると思います。
スマホをサイレントモードにしてポケットに入れておいた学生は、スマホを部屋の外に置いてきた学生よりスコアが劣りました。(中略)自分のではないスマホを机の上に置いておくだけで(触ることは禁じられていました)、やはり集中力にマイナスの影響を与えることが観察されました。どうやら脳は無意識のうちに、自らの処理能力の一部を「スマホを無視すること」に使ってしまうようです。
プレジデント社『PRESIDENT 2021.1.29号』P.67
あ~、といった感じで、私にも身に覚えがあります。
通知の有無が気になったり、ついついSNSを覗いてしまったり。
なにかを待ってしまう人ほど為に集中できなくなるのではないでしょうか。
受け身でいてもどうにもならないのが人生。
時間だって有限です。
与えられる側でいつづけるくらいなら与える側になったほうが充実した毎日を送れるかもしれません。
オンとオフをはっきりさせ、触らないときは徹底して触らない。
依存度にもよるでしょうが、そもそも視界に入れないくらいの対策が必要だと思います。
(前略)兵法の道は本来、自由である。剣術の鍛錬によってしっかり技術を身につければ、かえって技術にこだわらなくなり、自然に敵を討ち、自然に相対するようになる。この悟りの境地とも呼べる状態が”空“の領域です。つまり剣の構え方や足の運び方などの技術を徹底的に鍛錬するからこそ、いちいち考えなくてもおのずと体が自由自在に動くようになり、敵を斬るという目的に集中できるようになるのです。
プレジデント社『PRESIDENT 2021.1.29号』P.76
すべての道に通ずるように思う。
半端なことをいくらやってみたところで半端者にしかなれませんもんね。
何者かになろうとするならば相応の蓄積が求められますし、漫然と生きることなどできなくなるのでしょう。
技術への拘泥を越えたさきでようやく最大限のパフォーマンスが発揮されうるわけですから、それはもう目指すしかないというか。
でも本当に好きなことじゃないとそこまで打ち込めないんですよね。
好きなこと、ありますか?
好きなことに関してはとにかくやってみる、ある程度つづけてみることでわかってきます。
逆に言うとやってみなければわかりません。
つづけなければ自分がそれを好きかどうかもわからないものなのです。
なので何かを極めたいけど何をすればいいのか、という方はとにかく興味をひかれたものや流行っているもの、周囲の人が好むものに手を出すところからはじめるのがよいでしょう。
食わず嫌いは避けるべきです。
つまらない人生になりかねませんから。
人は自分の望みの生活が実現できるような調和的な世界像を抱いていたい。そこ、に自分の認知と矛盾する情報が入ってくると、心情、思考、価値観、そして行動の間に摩擦が生ずる。これをアメリカの心理学者レオン・フェスティンガー教授は「認知的不協和」と名付けた。
プレジデント社『PRESIDENT 2021.1.29号』P.85
葛藤の原因であり、我々が乗り越えるべき壁でもある。
といって自分を変えるか世界を変えるかするしかなく、手っ取り早いのは自分を変えてしまうほう。
勉強や経験の価値もそこにあります。
自分をアップデートしていけるわけですから。
古い価値や常識、一般論にしがみついて良いことはあまりないかもしれません。
人生の早い段階で世界像が固定されてしまうと時代の流れについていけなくなり、後が辛くなるように思います。
といってもついていく必要のない環境さえ構築できれば悠々自適の日々が待っているのでしょうけれども。
できれば私もそうなりたい。
『PRESIDENT 2021.1.29号』を読んで
とくに目新しい情報もなく、知っていることのおさらいといった印象でした。
しかし反復することでより深く身につくものでもありますから、無駄ではなかったです。
あと、個人的に誌上で紹介されていたこちらの本が気になりました。
予備校講師、歴史系YouTuberでもある茂木 誠氏の新刊で、
もはや右派と左派という図式では読み解けない世界を、ナショナリズム/グローバリズム、米中冷戦にまつわる壮大な思想史、超国家EUの内部崩壊、イスラム革命のグローバル化などを軸に解き明かしていく。
プレジデント社『PRESIDENT 2021.1.29号』P.113
といった内容だそうです。
ニュートラルな立ち位置から世界を俯瞰する、その視点を得るうえで役立つかもしれません。

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